W society 特別セミナー「私を知ろう ~キャリア編~」ダイジェスト後編

2022.03.02

EVENTS & NEWS TOP

「私を知ろう~キャリア編~」では、素敵な女性3名をゲストにお迎えし、キャリアとヘルスケアをテーマに、赤裸々にトークするYouTubeセミナーを2月8日(火)に開催。ダイジェスト後編では医師の岡田有香先生を中心に妊娠・出産にまつわる生理や不妊についてレクチャーします。また、皆さんから届いた不妊治療にまつわる質問にもお答えします。(前編はこちらから)

QUESTION:妊娠適齢期と不妊について

岡田先生

30歳という年齢はキャリアも妊娠・出産もこれからでしょ?と思っていませんか? 

妊娠・出産を医師の視点で考えると、年齢が30歳を超えているならできるだけ早く妊娠・出産を迎えてほしいと思います。もちろん、妊娠・出産を絶対的に考える必要はないのですが、「いつか妊娠できるだろう」と思うのではなく、一度立ち止まって自分自身の体の状態を知って、その上で、妊娠・出産について考えてもらえたら嬉しいです。

谷内さん

26歳で子供が欲しいなと思って1年近く妊活して授かりました。2人目は、私のプランでは、2歳差か4歳差が理想でした。でも、予定通りにはいかず5歳差で2人目を授かりました。2人目を希望したときに不妊治療をしたのですが、仕事をしながら通院するのが大変で。10年前は、病院で3時間待ちは当たり前でした。だから、仕事と妊活の両立ができないような状況でしたね。2人目の不妊の時には病院も働く女性向けに整備され始めていて、すぐに不妊治療を行う選択ができたことは良かったと思っています。生殖医療について周りの先輩や友人が詳しかったこと、夫の理解があったことで、生殖医療に対して抵抗がなく、治療を行うことができたと思います。私が感じたのは、生殖医療に関しての情報は治療する人だけではなく、将来子どもが欲しいな、と思ったすべての人に知ってもらいたい情報だなと感じました。いろんな選択肢があることを知っているだけで、心に余裕を持って生活できるんじゃないかなと思いますね。

QUESTION:正しく生理を知る 。生涯の月経回数は昔の4~5倍に。

現代女性の生涯の月経回数知っていますか? 

平均は450回です。これは昔の女性の4〜5倍の回数なんです。これほど増えた理由の1つは、出産回数が減ったことと、高齢で出産する方が多くなっているからです。

生理の正しい周期は25〜38日周期と言われています。

周期が短いと卵巣の機能が早く低下してしまう病気にかかりやすかったり、長い周期だと排卵し難い状態になる可能性があります。昔は日本の初経の平均年齢は16歳でしたが、今は12歳と低年齢化しています。このことも生理の回数が増える要因の一つです。生理の回数が多くなると子宮内膜症やPMSのリスクが高まると言われているので、若い世代から年齢を重ねた世代まで幅広く気を付けてもらいたいです。

QUESTION:子供は何人欲しい?

皆さんは、子供は何人欲しいですか?

将来2人子供を欲しいという人が、世の中で一番多いそうです。

それを叶えるためのデータがあって、例えば、27歳までに妊活を始めると、90%の確率で2人の子供を自然妊娠できるという調査結果があります。現在の日本では、1人目を出産するのが30歳前後、2人目の出産は32歳前後です。その中で、4組中1組が2人目不妊だと言われています。ライフスタイルの変化とともに高齢出産が増えていますが、こういった情報を頭に入れておくことで、自分自信の描くライフプランの手助けになれたら嬉しいですね。

QUESTION:AMH(エーエムエイチ)ってなに?

AMHとは、卵子の在庫数を表す数値です。

難しそうな検査に聞こえますが、採血で簡単に検査することができます。

例えば、生理の周期が突然26日周期に変わったりした時にAMH検査をしてもらうと、卵巣機能の低下などが分かります。AMHの値は、年齢とともに低下していきます。注意点は20代後半や30代前半の若い方でも値が低い方がいるということ。万が一、AMHの値が低い方は早発卵巣不全という病気になりやすいと言われているので、若い方にも積極的に受けて欲しい検査の一つです。早発卵巣不全と診断がついてからの妊娠はなかなか難しいため、診断がつく前に動き出す必要だと思います。

POINT:妊娠するには卵子の「数」だけじゃない。「質」も重要

妊娠には、卵子の数が大切なのはもちろん、「質」も大きく影響してきます。残念ながら年齢とともに「数」も「質」も低下します。どちらも、自分自身ではどうすることもできないので、年齢が若ければ若いほど卵子の数も多く質も良い状態にあるということです。だからこそ、若いうちに妊娠・出産をと言われているのです。

QUESTION:キャリアと妊娠・出産どちらを優先する?

キャリアと妊娠・出産を考えた時、どちらを優先したらいいのか?ということを悩むことがあると思います。私が思うことは、正しい知識を知って、「第3の選択肢」を持つことが大切だということです。

キャリアと妊娠・出産、両方を並行して進めてももちろんいいですし、卵子凍結を考えたり、養子縁組というような制度を選択肢の一つにしてもいい。第3の選択肢を知って、私だけのライフプランを見つけて欲しいです。 

POINT:プレコンセプションケアって?

チャットでもたくさんの質問をいただきました!

Q.卵子凍結は何歳まで可能ですか?
A.39歳までが推奨されています。本来は、30代前半くらいまでがベストだと思います。30代前半までですと10個卵子を凍結すると75%ぐらいが出産に繋がる確率です。

Q.卵子凍結は何歳からできますか?
A.基本的には生理がきていれば何歳からでもできるのですが、20歳以上かなと思います。

Q.AMH検査は何度も受けるの?
A.20代前半に一度は検査して欲しいです。その後、数年に1度ぐらいの頻度で大丈夫です。

Q.卵子凍結にはどのくらい費用がかかりますか?
A.1回の採卵に35〜50万円くらいかかります。また、凍結する個数と期間によって数千円から数万単位で費用がかかってきますが、それぞれのクリニックで違います。

Q.凍結の費用の安い高いの差は何でしょうか?
A.それぞれのクリニックが決めていることなので、大きな差はないと思います。

皆さんへメッセージ

谷内さん
“しなやかさ”を持つことは女性のライフプランにとっては重要で、ポジティブなこと。新しいものをどんどん取り入れることではなく、選択肢を知る、増やすことが自分の“しなやかさ”に繋がると思います。私たちも選択肢を知るきっかけづくりのお手伝いが出来たらと思います。

廣岡さん
キャリアを考えることで、自分自身の人生をより豊かにしていけるということを本当に強く思っています。少しでも、そのキッカケとなる時間になれば嬉しいです。そして、もっともっと多くの人たちにこのことが伝えられる場所ができたら嬉しいと思ってます。

岡田先生
今、いろんな正しいか正しくないか分からない情報はたくさんあります。私は医師の立場として、論文を探して日々みなさんに正しい知識をお伝えできるように今後も発信していきたいと思います。

今後クリニックでもサポートとして情報発信をしていきますので、お気軽にいらしてください。

自分自身を知ることって大切

リスクや不安があるから婦人科に行ってみよう。こういうことをきっかけに、自分自身を知るための検査をしたり、もう少し進んで卵子凍結をする選択をするなど、新しい技術に頼れる時代です。正しい情報を得て、自分自身が望む将来を描けるように・・・。このセミナーやW societyの活動を通して、少しでもサポートできれば嬉しいです。

ライターmiyuki

SHARE THIS ARTICLE